第12回定期演奏会

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第12回定期演奏会 2001年10月6日 於 府中の森芸術劇場「ウイーンホール」

去る平成13年10月6日に府中の森芸術劇場「ウイーンホール」で開催された

第12回定期演奏会のプログラムを以下に再現致します:−

 

日  時:平成13年10月6日(土) 18:00開演

場  所:府中の森芸術劇場「ウイーンホール」

 

ごあいさつ

  本日は、パイプオルガンを使用する関係で

地元を離れた府中市「府中の森芸術劇場   

ウイーンホール」での 開催にも拘らず、

遠路はるばるご来場頂きましてありがとう

ございます。

 このたび 「第12回定期演奏会」 を迎える

ことができましたのも毎回ご声援を送って

下さいます皆様のおかげと感謝い たします。  

今回は、現代フランスの作曲家デュリュフレ

の「レクイエム」を作曲者自身の編曲による

パイプオルガンの伴奏つきで、ソリストに

栗林朋子さん、牧野正人さん、オルガニストの

新山恵理さんにご出演頂き、また萩原英彦の混声合唱組曲「光る砂漠」を

ピアノ伴奏つきで、そして武満徹の混声合唱曲をアカペラで 歌います。

佐藤先生の辛抱強く熱心なご指導のもと、難曲に取り組んで参りました。

至らぬ点が多々あるとは存じますが、最後までご鑑賞頂ければ幸いと存じます。

                          調布市民合唱団団長  岡野屋正男

 


 

矢澤 宰 作詞 Osamu Yazawa   (1945〜1966)
萩原英彦作曲 Hidehiko Hagiwara (1933〜 )

混声合唱曲 「光る砂漠」

  1. 再会         誰もいない校庭で・・・・まばたきもせずに見詰め合った
     
  2. 恋の詩でも読んだあとのように
                 
    わた雪が・・・・こころ楽しくてならないのです
     
  3. 早春           ああ土のにおいがかぎたい その春にほおずりしたい
     
  4. 海辺で            宝石のようにしぶきがあがる
                       しぶきの中から 濡れたあなたの手がひっぱるのを待つ
     
  5. ほたるは星になった  光は愛し合い はるかなる旅へ去った
     
  6. 落石              岩壁に砕け・・・・飛沫は炎となってヤマメの鱗を光らせた
     
  7. 秋の午後           ああ乳のあまい匂いが・・・・私の心をゆするみたいだ
     
  8. さびしい道          でもやっぱりこの道を行きたい
     
  9. ふるさと            ふるさとは ただ静かにその懐に わたしを連れこんだ
     

混声合唱組曲「光る砂漠」の作詩者 矢沢 宰は1966年3月、

21歳の若さで世を 去っ た薄幸の詩人。 13歳の3月、父に

背負われて新潟県の三条結核病院小児科に入院。

主治医吉住先生と看護婦の立川ユキさん(当時18歳)の

親身の世話で、死の淵を前に踏み止まり、「人間の尊さ、

偉さ」に気づき、「生きる」ことを切実希求するようになる。

 日々襲う苦痛と死の恐怖、かぎりない孤独感、それと向き

合ながら、「生きている」ことの証しと して14歳の11月から

   1日も休まず書き続けた日記は大学ノート26冊に。

   14歳から書き始めた詩は500篇を超えた。

   14歳のクリスマスに病院を訪れたイギリス人

   宣教師によって、イエスキリストを知り悩みながら、

  迷いながらも、心のよすがとなっていく。 

   2年を超える絶対安静、寝たきりの生活から奇跡的に回復。

16歳の6月、自分の足で20メー トル歩く。 19歳を前に

県立栃尾高校に合格。 しかし、病気再発の不安に苦しむ。

19歳の11月あこがれていた柏崎の海へ行く。 不安と憧れ

決意と挫折感と。

20歳の3月病気再発、休学再入院。失恋。

21歳と10ヶ月、3月11日永眠。

1969年12月遺稿詩集「光る砂漠」が出版され大きな

反響を呼んだ。  

この曲は1971年に書かれ、日本合唱協会により

初演された。

1991年の再出版に寄せて、「詩の配列は、秋からまた

めぐり来る秋とし、大自然に帰って行く魂を、交響詩篇と して、

またキリスト教的内容を持つ宗教音楽として描いた。」と述べてる。

 


 


武満 徹作曲 Touru Takemitsu ( 1930〜1996 )

無伴奏合唱組曲 「うた」 より

  1. 翼                          
     
  2. 島へ                       
     
  3. ○と△の歌                     
     
  4. 小さな空
     
  5. 明日ハ晴レカナ、曇リカナ
     
  6. さ く ら

   

 1952年に東京交響楽団の委嘱により作曲された「弦楽のためのレクイエム」は

欧米各国でも演奏され、日本の現代音楽の基礎をきずいた作曲家である。

「うた」(全10曲)は1984年出版され、東混特別演奏会、岩城宏之指揮で演奏さた。  

 「島へ」の作詞者は井沢満、「さくら」は誰もが知っている日本古謡。他は武満徹

自身の詞による。 短くて単純な詞の中に、心の中の大きな世界がうたわれている。

 


 

デュリュフレ Maurice Duruflé ( 1902〜1986 )

REQUIEM op.9      

  1. Introït           イントロイトゥス      
     
  2. Kyrie            キリエ
     
  3. Domine Jesu Christe  主、イエス・キリスト
     
  4. Sanctus          サンクトゥス
     
  5. Pie Jesu          慈悲深いイエス
     
  6. Agnus Dei         アニュスデイ
     
  7. Lux æterna         永遠の光
     
  8. Libera me         われをときはなちたまえ
     
  9. In Paradisum        天国へ

 

20世紀に書かれた宗教曲作品ではラフマニノフ「晩祷」や

コダーイの「ミサブレビ ス」、ブリテンの「戦争レクイエム」

などが有名であるが、今回演奏するモーリス・デュリュフレの

「レクイエム」は 1886年に作曲されたフォーレの「レクイエム」

と並んで近代フランスの2大傑作と呼 ばれる名曲である。  

 デュリュフレは1902年、フランスのノルマンディ地方の

ルアン近郊で生まれた。 10歳のころから地元の

聖歌隊に加わり、カトリック教会音楽の素養を積んだ。

18歳からパリ音楽院で作曲やオルガン等を学び

フランスを代表するオルガン奏者として知られる

ようになった。  

この「レクイエム作品9」は1947年、楽譜出版社

デュラン社の依頼により作曲された。

 当時デュリュフレが構想していたグレゴリオ聖歌をもとにしたオルガン・ミサ曲

を発展させてこの曲ができた。

一般的なカトリックの「死者のためのミサ」の中に含まれる「ディエス・イレ

(怒 りの日)」は、フォーレの「レクイエム」と同様、デュリュフレも省略し、

フォーレが書き加えた 「リベラメ」と「イム・パラディスム(天国へ)」を

デュリュフレも付け加えて作曲している。 このような構成に加え、

グレゴリオ聖歌の素朴なメロディは、現代の我々に深くしみ込んでくる。

楽譜の冒頭に「父の思い出のために」と記されている。

 


 

 プロフィル

指揮:佐藤 宏  

国立音楽大学作曲科卒業。作曲を矢代秋雄、増田宏三、飯島英嗣の

各氏に、指揮を 増田宏三氏に師事。 在学中より東京室内歌劇場に

おいて指揮活動をはじめ、ブリテン作曲『ノアの方舟』 でデビュー。

現在、藤原歌劇団指揮者。

 

ピアノ:清水良枝  

桐朋学園大学音楽部ピアノ科卒業。 ピアノを故森安芳樹、馬島瑞枝、

故井口基成の 各氏に、 室内楽を岩崎淑、安田謙一郎の両氏に師事。 

声楽、器楽のリサイタルの他、合唱・オ ーケストラピアニストとして全国

各地で活躍中。透明な響きと暖かい音楽がすばらしい。



メゾソプラノ:栗林朋子  

東京芸術大学卒業。同大学院独唱科終了。

第3回日本声楽コンクール第1位。

1996年、五島記念文化賞受賞。 この賞によりベルリンに留学。 

2000年11月帰国記念リサイタルを開催。 二期会会員。



バリトン:牧野正人  

国立音楽大学、大学院修了。

イタリア留学中、M・カルボーネに師事。

エンナ市ネリ ア国際音楽コンクール第1位。

23回ジローオペラ賞受賞。

国立音楽大学講師。 調布市民合唱団とは2度目の共演。



オルガン:新山恵理  

東京芸術大学オルガン科、同大学院修了。 

在学中、第3回日本オルガンコンクール 第2位入賞。

NHK-FM等で演奏活動を始める。

フランスのリール国立音楽院にてJ・ボワイエに師事。

同大学院を首席で卒業。

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